高専から偏差値の高い大学へ編入すれば、子どもは伸びる?
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(いい大学に行ってほしい。親なら当然そう思う。……でも、この研究を読んで、ちょっと手が止まったんです。)
我が家の子どもは、まだ高専の2年生。大学編入はずっと先の話です。それでも親としては、つい「どうせなら、いい大学に……」と考えてしまいます。
そんなとき、ある動画と、ある研究に出会って、立ち止まって考えさせられました。 今日はその話を、答えを出すためではなく、同じように悩む保護者の方と一緒に考えるために書きます。
きっかけ①:「高専から編入で”逆に損する”こともある」という動画
高専の大学編入は、よく「学歴ロンダリングができる」と紹介されます。一般受験ならとても難しい難関大に、推薦の面接や少ない科目で挑める——たしかに魅力的です。
でも、ある高専受験塾(飛こうせん塾)の動画が、あえて**「編入で逆に損してしまうこと」**を取り上げていました。要点はこうです。
- 卒業後の人間関係:3年次から途中参加で、グループに入りにくいことがある
- 授業のギャップ:単位互換で飛び級する分、知識に穴ができて授業についていきにくいことも
- 就活:実は大卒より高専卒のほうが就職に強い面もあり、ルートによっては不利になることも
- ⭐卒業までに時間がかかる(留年リスク):単位の認定が一部だけで、結果的に在学が延びることがある
- 金銭的負担が増える:高専より大学のほうが学費が高い(+留年すればさらに)
特に「実力以上の難関大に推薦で入った場合」に、こうした”しんどさ”が出やすい、という指摘でした。
参考動画:飛こうせん塾「【99%が知らない】高専からの大学編入で逆に損してしまうこと」(※本文末にリンク)
この動画を見て、私はもう一つ、前に読んだ研究を思い出したんです。
きっかけ②:教育経済学が示す「大きな池の小さな魚」
慶應義塾大学の教育経済学者・中室牧子(なかむろ まきこ)先生(『「学力」の経済学』の著者)が紹介している研究に、こんなものがあります。
🐟 小さな池の大きな魚効果(Big-Fish-Little-Pond Effect)
教育心理学で有名な理論です。ざっくり言うと——
同じ学力の子でも、レベルの高い集団で「下のほう」にいると自己肯定感が下がり、レベルの低い集団で「上のほう」にいると自己肯定感が上がる。
つまり、無理して偏差値の高い学校に入って”下位”になると、やる気や自己評価が下がってしまうことがある。逆に、少し余裕のある環境で”上位”にいると、自信を持って伸びていける、というわけです。
「頑張っていい学校に入れば、まわりに引っ張られて成績も上がるはず」——親としてはそう期待します。でも研究が示すのは、必ずしもそうではない、ということでした。
💰 偏差値の高い大学に行っても、収入は上がらない?(アメリカの研究)
さらにアメリカには、こんな研究もあります。
- 小学校時代の校内順位が、なんと30歳時点の収入に影響していて、その経路が自己肯定感だった、という研究
- Dale & Krueger の研究:能力や意欲をそろえて比べると、より難関の大学に行っても、将来の年収は変わらなかった(※低所得層の子には効果あり、という例外つき)
もちろんこれはアメリカのデータで、日本にそのまま当てはまるとは限りません。でも、「いい大学に行けば将来安泰」という思い込みに、そっと”待った”をかけてくれる材料だと思いました。
母として、私が考えたこと
この2つ(編入で損することもある/大きな池の小さな魚)を並べてみて、私の中で問いが変わりました。
「どこまで上の大学に行けるか」ではなく、「うちの子が、自信を持って伸びられる場所はどこか」。
高専から編入で難関大を目指すのは、夢を広げる素晴らしい手段です。それは間違いない。でも、
- そこで**“小さな魚”になって自己肯定感を失わないか**
- 留年や学費など、現実的な負担に無理がないか
- 何より、子ども本人がそれを望んでいるか
——を、親の見栄や期待だけで決めないようにしたい。そう思いました。
我が家はまだ2年生。時間はたっぷりあります。だからこそ今、「いい大学に入れること」をゴールにせず、「自信を持って学べる環境を選ぶこと」をゴールにしたい。それが、研究と動画から私が受け取ったことです。
🌷 まとめ:答えはまだない。でも、問いは持っておきたい
- 高専からの編入は、学歴を大きく広げられる魅力的な手段
- でも「実力以上の環境」は、自己肯定感ややる気を下げることもある(小さな池の大きな魚効果)
- 難関大に行っても収入が必ず上がるとは限らない(Dale&Krueger)
- だから親が持っておきたい問いは——「どこまで上か」ではなく「どこでなら、わが子が輝けるか」
正解は子どもによって違うし、我が家もまだ答えは出ていません。でも、この問いを持って進路を考えられるかどうかで、きっと声のかけ方が変わる。同じ立場の保護者の方と、一緒に考えていけたら嬉しいです。
編入そのものの仕組みや大学比較は、こちらにまとめています。