フリースクールの費用はいくら?最新調査の相場と補助金・隠れた出費
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夜、子どもが寝たあとに、検索したと思います。「フリースクール 費用」って。
昼間は、子どものことで頭がいっぱい。でも夜になると、もうひとつの心配が顔を出す——「月いくらなら、うちは払える?」。お金の心配は、子どもの前では口に出しにくいから、親は夜にひとりで調べるんですよね。
先に、費用の答えからお伝えします。
正直に言うと、私も最近まで「フリースクール」という言葉は知っていても、中身はよく知りませんでした。だから、当時の私が知りたかった順番で書きます。前回の記事では親の仕事と収入の話を書きました。今回はその続きです。
そもそもフリースクールって、何をする場所?
学校ではありません。 これが一番大事な出発点です。
フリースクールは、学校に通いにくい子が、学習・相談・体験活動・人との交流などを自分の状態に合わせて利用する民間の場。法律上の「学校」(学校教育法第1条)とは別なので、通っても、子どもの在籍は今の小中学校に残ったままです。転校ではありません。卒業資格が出る場所でもありません。
よくある疑問に、公的調査のデータで答えます。
Q. 勉強は教えてくれるの?
施設によりますが、2024年の全国調査(フリースクール393施設・複数回答)では——
- 個別の学習支援:86.8%
- 相談・カウンセリング:80.4%
- 芸術・調理・自然・社会などの体験活動:おおむね7割台
- 授業形式(講義)の学習:31.8%
つまり多くの施設が「個別学習+相談+体験」の組み合わせ。学校のような一斉授業の場というより、その子に合わせた居場所+学びの場です。
Q. 先生(教員免許を持つ人)はいるの?
必ずいるわけではありません。 2015年の文科省調査では、スタッフの約37%が小中高の教員免許を持っていました。裏を返せば6割は持っていない——ただし心理や福祉の専門資格を持つ人もいて、施設差が大きい。見学のときに「どんな経験の方がいますか」と聞いていい部分です。
Q. 誰が運営してるの?私立学校みたいなもの?
私立学校とは別物です。運営はNPO法人(28.1%)、株式会社などの営利法人(19.8%)、法人格のない任意団体(15.7%)、個人(9.1%)などバラバラ(2024年調査・n=832、フリースクール以外の民間施設も含む)。全国共通の設置基準や資格要件はありません。だから「フリースクールだから安心/不安」ではなく、一つひとつ見て判断する場所だと考えてください。
Q. 毎日通うの?
週5日開いている施設は51.7%ありますが、毎日通う決まりではありません。週1日から、子どもの状態に合わせて頻度を選べる施設が多いです(だから費用にも幅が出ます)。
Q. 近くにあるの?
ここが正直、地域差が激しい。現在の全国総数を数えた統計は存在しません(よく見る「474施設」は2015年調査のアンケート送付先の数です)。文科省の2018年調査では、民間施設と連携がない教育委員会等の半数超が「域内に施設がない」ことを理由に挙げていました。都市部に多く、無い地域には本当に無い——それがフリースクールの現実です。
出席扱いになるの?
なり得ます。ただし「通えば自動で出席」ではありません。
学校外の施設で相談・指導を受けた日を、在籍校の校長の判断で指導要録上の出席扱いにできる仕組みが、1992年から続いています(現在の根拠は令和元年の文科省通知)。条件の中心は、保護者と学校の連携・施設が適切かどうかの確認・実際に通所していること。
実績の数字も見ておきましょう。最新の全国統計(令和6年度)では、「民間団体・民間施設」で相談・指導を受けた18,566人のうち、出席扱いになったのは9,329人(50.2%)。半分です。
実は、通っている子は少数派です
意外な数字かもしれません。最新の全国統計(令和6年度)では、不登校の小中学生353,970人のうち、「民間団体・民間施設」で相談・指導を受けたのは**18,566人=5.2%**でした。
この区分にはフリースクール以外の民間施設も含まれるので厳密な「フリースクール利用率」ではありませんが、利用は約19人に1人の少数派であることは分かります。
これ、責める数字ではなくて、安心材料として受け取ってほしいんです。「フリースクールに通わせていない」家庭の方が圧倒的に多い。費用でも、距離でも、子どもの状態でも、通わない・通えない理由は様々で、それは珍しいことでも、親の怠慢でもありません(学校内の相談・教育支援センター・自宅での学習など、他の形で支えている家庭がたくさんあります)。
費用の話|「月3.3万円」の正体と、2つの実測データ
ここから、検索した本題の費用です。
よく見る「平均3.3万円」は、11年前の数字
検索するとたくさんの記事が「フリースクールの費用は平均3.3万円」と書いています。出どころは文部科学省の2015年調査。11年前に、施設側(262施設の回答)に聞いた月額会費の平均です。古いうえに、家庭が実際に払っている額とは前提が違います。
家庭側に聞いた、2つの公的調査
① 東京都の調査(利用家庭の回答1,266件・令和5年度)——月の利用料(授業料・施設使用料など)は平均43,136円・中央値38,000円。分布を見ると月1〜4万円の層が厚い一方、月7万円を超える家庭も約13%いました。
② 長野県の調査(費用回答104件・2025年)——月謝だけでなく周辺の費用まで測ったのが貴重な点です。
月謝以外に、交通費と昼食代で月7,000円前後。自由記述には「送迎が1往復45km、ガソリン代が1日1,000円以上」という声もありました。入会金は中央値0円(無料の施設が多い一方、10万円台の施設もある)。そして、費用に負担を感じている家庭は72%。
※東京は利用料本体、長野は周辺費用込みで、対象地域も違うため単純比較はできません。「全国の今の相場」を示す政府統計は存在しない——これがこの分野の現実です。
そして、フリースクール代だけじゃない——不登校の家計は「四層」
ここまでで「フリースクールに通う場合」の費用が見えました。でも、検討を始めると気づくはずです。家計に効いてくるお金は、それだけじゃないことに。
| 層 | 何が起こるか |
|---|---|
| ① 収入が減る | 欠勤・時短・退職(詳しくは前回の記事) |
| ② 学校のお金は残る | 給食費・教材費・PTA会費・行事積立は自動では止まらない |
| ③ 家の生活費が増える | 毎日の昼食・光熱費・通院・送迎 |
| ④ 学校外の学びの費用 | フリースクール・教材・家庭教師 |
不登校・行き渋りの子を持つ保護者1,234件を調べたキーデザインの調査では——
減るのに、増える。 この「二重負担」が、不登校の家計のいちばんの特徴です。
穴①:学校に行っていなくても、学校の集金は止まらない
四層の中で、いちばん見落とされているのが②です。
学校に行っていなくても、在籍している限り、学校の集金は自動では止まりません。 給食費・教材費・PTA会費・行事の積立——「行っていないのだから止まるだろう」と思いますよね。ところが、全部止まる全国共通のルールは存在しないんです。
- 給食費:自治体の停止届と期限次第。たとえば春日井市は「食べない連絡が期限までにない場合は請求する」と公式に案内しています
- 教材費:すでに一括発注・配布済みだと、返金できないことがあります
- PTA会費:PTAは学校とは別の任意団体。会費の扱いは各PTAの規約次第です
実際の声が、公的調査の自由記述に残っています。「学校の引き落としがすぐに止まらず、フリースクールの利用料が加わった」「参加していない校外学習のバス代を請求された」(長野県調査)。「復学するかもしれないからと教材費や校納金を払い続け、家の食費・光熱費もかかる」(鹿児島県調査)。
ひとつ知っておいてほしいのは、登校の状況によっても、話の通りやすさが変わるということ。完全に登校していない場合は、学校側も「給食を止める」「教材を使わない」の判断がしやすい。一方、行ったり休んだりを繰り返している段階だと、「来るかもしれない」前提で準備が続くため、停止の判断は難しくなりがちです。
だからこそ、「不登校なら止まる/止まらない」という一律の答えではなく、「うちの場合はどうなりますか」を費目別に聞く——それが一番現実的なんです。実際に、相談して止めてもらえた家庭は存在します。
この仕組み、知らなかったとしても、あなたのせいではありません。誰も教えてくれない場所にある「穴」だからです。
家の中で増える、見えない出費
③の層も見ておきましょう。学校に行かないと、家の中のお金が静かに増えます。
当事者団体(不登校・登校拒否を考える全国ネットワーク)の調査を学術論文が再掲した数字では、増えた支出として——
最も多いのは、フリースクール代ではなく食費でした。給食という「1食300円前後の完全栄養食」が消えて、毎日の昼ごはんが家計に乗る。地域の当事者調査(秋田市・回答48件の市民プロジェクト調査)でも「家にいるため光熱費が増えた」60.4%、「給食費に加えて家庭の昼食費」52.1%が挙がっています。
家庭学習の教材を使う場合の費用帯も、参考までに(2026年8月時点の公式料金の例。おすすめ順ではありません):
- 映像授業系:月2,000円前後から
- 教科書対応の通信教材:月5,000〜8,000円前後
- 学年をまたいで学べる支援付き教材:月10,000円超の例も
教材で「出席扱い」を目指す場合の実物資料は、すららを実際に取り寄せた記事に写真つきでまとめています。
使える支援を、順番に確認する
ここまで「出ていくお金」の話でした。ここからは戻ってくる・減らせる話です。順番に確認してください。
1. 教育支援センター(適応指導教室)——基本、無料です
自治体が運営する不登校の子の居場所・学びの場で、文部科学省が「無償の学習機会」と位置付けています。フリースクールを検討する前に、まず地元にあるか確認する価値があります。ただし、未設置の地域や、対象・開室日数・送迎の条件に地域差があります。
2. 就学援助——不登校でも対象になり得ます
経済的な理由で就学が難しい家庭に、学用品費・給食費などを支援する市町村の制度です。「不登校だから対象外」という国の説明は確認できませんでした。所得などの要件で市町村が認定します。基準・費目・申請時期は自治体ごとに違うので、学校か教育委員会へ。
3. 自治体のフリースクール補助——「住んでいる場所」で大きく違います
2026年8月時点で公式に確認できた例です(網羅ではありません)。
| 自治体 | 支援内容(2026年度) |
|---|---|
| 東京都 | 利用料月2万円まで助成(入会金・教材費は対象外・施設要件あり) |
| 名古屋市 | 2026年度から利用料補助を開始 |
| 神戸市 | 利用料の半額を助成(欠席日数等の要件あり) |
| 姫路市 | 対象経費の1/2・月1万円上限 |
| 西脇市 | 月額最大1万円 |
| 熊本県 | 経済的に苦しい家庭の活動経費を支援 |
4. 高校から先——2026年度から就学支援金の所得制限が撤廃
通信制高校を視野に入れる場合、高等学校等就学支援金は2026年度から所得制限がなくなり、私立通信制は月額最大28,100円の支援があります。ただし、サポート校の利用料は別契約なら対象外。高校本体とサポート校の費用は、分けて見積もってください。進路全体の費用は進路地図の記事へ。
穴②:補助は「住んでいる場所」で決まる。そして、知られていない
上の表を見て「うちの自治体にはない……」と思った方へ。それがこの制度の二つ目の穴です。
少し古い調査(2019年・文科省)では、経済的支援を実施していない教育委員会が約88%でした。2024年以降、補助を始める自治体は増えています——でも、長野県の2025年調査では、市町村の支援制度を**「知らない」または「制度がない」が合わせて54%。一方で「補助があれば利用したい」は92%**。
制度が足りないうえに、ある制度も知られていない。そして、不登校の家計負担そのものを調べる政府統計は、今も存在しません。国は不登校の人数は毎年数えているのに、その家庭がいくら払っているかは、誰も数えていない——だから長野県や東京都の調査が貴重なんです。
これは社会の側の穴であって、「調べなかった私が悪い」ではありません。 この記事をここまで読んだ時点で、あなたはもう十分に調べている側の親です。
「高くて選べない」という現実も、書いておきます
最後に、正直に。
公的調査の自由記述には、こんな声が実在します。「本人が望んで見学までしたのに、費用が高くて利用できなかった」(鹿児島県)。「金額的に高く、通いたくても行けない子どももいる」(東京都)。「経済的な負担を理由に、利用する日数を減らした」(長野県)。
もしフリースクールを選べなくても、それは親の愛情の問題ではなく、お金の構造の問題です。そもそも利用している家庭は少数派で、無料の教育支援センターも、出席扱い制度を使った家庭学習も、同じように正当な道です。高いお金を払える家庭だけが、子どもを支えられるわけではありません。
お金の不安って、正体が見えないうちがいちばん重いんです。フリースクールが何かを知って、四層に分けて、費目別に確認して、使える支援を並べてみると——「全部でいくら必要か」が「今月これだけ確認すればいい」に変わります。分解すると、不安は小さくなる。 それがこの記事で一番伝えたかったことです🌷
よくある質問
Q. フリースクールに通えば、学校を卒業できますか?
フリースクールは法律上の「学校」ではないので、卒業資格は出ません。在籍は今の小中学校のままで、卒業証書も在籍校から出ます。だからこそ、在籍校との関係(出席扱いの相談など)が大切になります。
Q. 学校に行けない子が、フリースクールなら行けるものですか?
行ける子は実際に多くいます。少人数で、時間がゆるやかで、評価されない——「学校」の空気がない場所だから通える、という子は珍しくありません。ただし行けない子もいて、その場合は自宅での学習やオンラインの居場所という選択肢もあります。どちらが正解ということはありません。
Q. 給食費は返ってきますか?
自治体・学校によります。「食べない」連絡の締切があり、それを過ぎた分は請求される自治体もあります。さかのぼっての返金より、これから先の停止手続きを先に確認するのが現実的です。窓口は学校の事務室です。
Q. 就学援助は不登校でも使えますか?
所得などの経済要件で市町村が認定する制度で、不登校だけを理由に一律で対象外とする国の説明は確認できませんでした。学用品費・給食費など対象費目は自治体ごとに違います。
Q. 「フリースクールの平均は月3.3万円」って今も正しいの?
その数字は2015年に施設側262件に聞いた調査のものです。家庭側の実測では、東京都調査(1,266件)が平均43,136円・中央値38,000円、周辺費用まで含めた長野県調査(104件)が平均23,850円・中央値19,250円。対象も年も違うので、「今の全国相場が3.3万円」とは言えない、が正確なところです。
Q. 通信制高校なら、サポート校の費用も無償化されますか?
就学支援金は「高校の授業料」への支援です。サポート校が別契約の場合、その利用料まで自動的に対象になるわけではありません。パンフレットの「実質無償」の表記が、高校本体だけの話かどうか、必ず確認してください。
まとめ
📚 シリーズ「不登校と家族のリアル」
答えの出にくい問題を、生の声と公的データで整理していく連載です。
- 第1回:学校に行きたくない中学生|無理に行かせなくていい理由3選
- 第2回:不登校と親の仕事|辞める前に知りたいデータと選択肢
- 第3回:この記事(フリースクールの費用と、不登校の家計の全体像)
- 第4回:夫婦の温度差(準備中)
📚 参考にした資料
- 文部科学省「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等調査」
- 東京都教育委員会「フリースクール等に通う不登校児童・生徒支援調査研究事業」報告書(令和4・5年度)
- 長野県「フリースクール利用家庭の経済的負担や支援状況等に関する調査」2025年・有効106件
- 文部科学省「小・中学校に通っていない義務教育段階の子供が通う民間の団体・施設に関する調査」2015年
- こども家庭庁委託「不登校のこどもを受け入れている民間施設等の利用実態調査」2025年報告
- NPO法人キーデザイン「不登校離職実態調査2026」(1,234件)
- 日本教育政策学会年報32号(全国ネットワーク調査の再掲を含む論考)
- 秋田市の不登校家庭困りごと調査(2023年・市民プロジェクト)
- 春日井市・学校給食費の案内
- 文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について」令和元年通知
- 文部科学省・就学援助ポータル
- 東京都・フリースクール等利用者助成(2026年度)
- 文部科学省・高等学校等就学支援金
※各調査は対象・地域・集め方が異なり、全国の代表値ではありません。本文では調査ごとに母数・対象を明記しています。「民間団体・民間施設」の統計区分にはフリースクール以外も含まれます。
※制度・料金は2026年8月時点の確認です。補助制度は年度で変わるため、必ずお住まいの自治体の最新情報をご確認ください。