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不登校と親の仕事|辞める前に知りたいデータと選択肢
不登校・進路 📅 ✏️ めぐりん

不登校と親の仕事|辞める前に知りたいデータと選択肢

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朝、子どもが「今日も行けない」と言う。

その言葉を受け止めた3秒後に、頭に浮かんでしまうこと——「今日、仕事どうしよう。また休まなきゃ。また謝らなきゃ。」

そして夜、検索するんです。「不登校 親 仕事」って。この記事は、その夜のあなたに向けて書いています。

私はいま、パートと在宅の仕事の両方で働いています。「子どものために仕事を休んで、謝り続けた」経験なら、痛いほどあります。その話は後半で。


なぜ、悩みが母親に集中しやすいのか

不登校のご家庭では、子どもの年齢や状態によって、日中の見守りや付き添いが必要になることがあります。その役割を誰が担うかとなったとき、現実には母親に集中しがちです。

これは感覚論ではなく、データがあります。山梨県が県内公立校の長期欠席家庭771件を調べた公的調査(2025年)で、子どものケアに最も関わった人は——

72.0%
母親がケアの中心
3.2%
父親がケアの中心
49.5%
仕事との両立に悩んだ

母親と父親で約23倍の差。そして、実際に仕事を辞めるところまで行くと、この偏りはさらに極端になります。不登校・行き渋りの子を持つ保護者1,234件を調べたNPO法人キーデザインの調査(2026年)では——

子どもの不登校をきっかけに、実際に退職した割合(%)
19.93母親 0.67父親
出典:NPO法人キーデザイン「不登校離職実態調査2026」回答1,234件(SNS・相談窓口経由の募集のため全国代表値ではありません)

約30倍の差です。「うちだけ、私だけがこうなってる」んじゃない。構造として、母親に集中してるんです。

朝のリビングで、職場への連絡を前にスマートフォンを手にして立ち止まる母親の後ろ姿

「辞めた人」は実際どれくらい?

調査によって数字は違いますが、複数の当事者調査で退職した親は1〜2割前後が繰り返し観測されています。

  • 山梨県の公的調査(長期欠席家庭771件):ケアのため仕事を辞めた 9.4%
  • キズキの調査(不登校の子どもがいる保護者438名・母親94.29%。インターネット調査で、当事者コミュニティ等を通じて募集):退職 17.81%・転職 4.57%
  • キーデザイン調査(1,234件):母親の退職 19.93%

※調査ごとに対象・集め方が違うので「5人に1人が辞める」とは言い切れません。ただ、退職に至る家庭が例外的な一件ではないことは確かです。

退職という数字だけでは見えない影響もあります。山梨県調査では遅刻・早退・中抜け・欠勤が増えた人が43.2%、休職や退職を検討した人が21.7%。キーデザイン調査では、もともと仕事をしていなかった人を除く1,066人の**84.1%が「仕事を辞めたいと思ったことがある」**と答えました。

お金への影響も出ます。企業で正社員として働く親1,000人(うち、不登校・行き渋りを現在または過去に経験した小中学生の保護者500人)を調べたサイボウズの調査(2026年)では、不登校・行き渋りをきっかけに働き方を変えた親の74.2%で世帯年収が減少、34.7%は2割以上減っていました。

めぐりん めぐりん

「また休むの?」という職場の空気。減っていく有休。心配なのは子どものことなのに、頭の半分は仕事のことを考えてしまう——。データの向こうに、同じ朝を過ごしている親がこれだけいます。


辞める前に:実際に使われた「辞めない工夫」

いきなり退職・転職を考える前に、現職のままで乗り切った人たちが実際に何をしたかを見てください。キズキの調査で、退職せず働き方を変えた144人が使った工夫です(複数回答312件の内訳)。

  1. 柔軟な遅刻・早退(58件)
  2. 時短勤務(46件)
  3. シフト変更(44件)
  4. 有休を使う頻度を増やす(32件)
  5. リモート勤務(28件)
  6. 残業なし(23件)・休職(22件)・フレックス(15件)など

注目してほしいのは、実際に現職内で働き方を変えた144人のうち、71.53%が職場に「相談しやすかった」と答え、この144人は全員、希望が全面的または部分的に実現していることです。ただし、これは「働き方を変えられた人」に限った結果です。同じ調査には、相談したものの希望がかなわなかった7人も別にいるため、誰でも希望が通るという意味ではありません。


制度の話——そして、制度の「穴」

「子どものことで休むための制度、何かないの?」——ここは正直に書きます。子どものための制度でも、不登校対応そのものは法定の対象外になる、という穴があるんです。

「子の看護等休暇」は、不登校対応そのものには使えません

2025年4月に育児・介護休業法が改正されて、子の看護等休暇が拡大されました(対象が小3修了まで・学級閉鎖や入卒式も対象に)。ニュースで見た方もいると思います。

でも、この制度には二重の穴があります。

穴その1:対象は「小学3年生修了まで」の子。拡大されたといっても中学生は年齢の時点で対象外です。この記事を読んでいる中学生の保護者には、そもそも使えません。

穴その2:取得事由に「不登校」が入っていない。法律で定められた事由は、病気・けがの看護、予防接種・健診、感染症による学級閉鎖等、入卒式への参列——「不登校の対応」「付き添い登校」「学校との面談」は入っていません。小学校低学年のお子さんでも、不登校に体調不良が伴って「看護」にあたる場合は使える可能性がありますが、「登校しぶりに付き添うため」だけでは、法律上の事由には当てはまらないんです。

介護休暇は「子も対象」——でも条件があります

介護休暇・介護休業の対象家族には「子」も含まれ、年齢の上限もありません。ただし「負傷・疾病・心身の障害により、2週間以上常時介護を必要とする状態」という要件があり、不登校というだけで自動的に使える制度ではありません。背景に疾患や障害があって要件に当てはまる場合の選択肢、と考えてください。

つまり——まず確認したいのは

年次有給休暇(理由を問われない)+会社独自の制度(就業規則の確認)+上で見た「現職内の工夫」を相談できるか。まずはここを確認するのが現実的です。会社独自の制度や勤務調整は、勤務先によって利用条件や実現可否が異なります。国の制度がまだ追いついていない部分は、「制度がないから私が悪い」ではなく、制度の穴です。あなたのせいではありません。

ちなみにサイボウズの調査では、不登校・行き渋りを経験した保護者が使いたい制度を使えなかったとき、「どこにも相談できなかった」が33.0%。人事担当者500人の53.4%は、該当する社員が「いないと思う」または「おそらくいるが把握していない」と答えました。会社が冷たいというより、**この問題はまだ「見えていない」**んです。

夕方のやわらかな光の中、温かい飲み物をそばに置いて自宅でパソコンに向かう母親の手元

それでも難しいとき:転職・在宅という選択肢

現職の工夫でも制度でも回らない——そのとき初めて、働き方自体を変える選択肢が出てきます。ここで大事なデータを2つ。

転職した人は少数派だけど、実在します。 キズキ調査の転職者20人の転職理由は「仕事と子育ての両立負担」「子のケアに注力したい」が中心。転職後の雇用形態はパート・アルバイト13人、正社員4人、派遣2人、フリーランス等1人でした。同じ調査には、転職後の収入減を挙げた回答もあります——ここは隠さず書いておきます。

在宅・リモートに変えて助かった声は、実際にあります。 週2〜3日の在宅勤務に変えた人、通院や困りごとの発生時に「中抜け」できるようにした人。子どもが家にいても仕事を続けられる形は、確実に存在します。

今の状況の整理——どの段階から検討する?
現職のままで調整できそう
職場に相談の余地がある/有休が残っている
遅刻早退・時短・リモートの相談から(働き方を変えた144人の71.5%は相談しやすかった)
現職では回らなくなってきた
有休が尽きた/職場の理解が得られない
休職制度の確認+転職・在宅勤務可の職種を情報収集
生活と心が限界に近い
収入・体調・家庭が同時に苦しい
一人で決めない。自治体の相談窓口・学校のSSWにお金の相談もできます

私自身の話——「誰にも謝らずに働きたい」が原動力でした

最後に、私のことを正直に書きます。うちの子は不登校ではありません。 だから「同じ立場です」とは言いません。

でも、うちの子は小さい頃、よく体調を崩すタイプでした。パートで働いていた私は、子どもが熱を出すたびに職場に電話して、「すみません、また休ませてください」と謝る——その繰り返しでした。

めぐりん めぐりん

あのとき、心の底から思ったんです。在宅で仕事ができたら、子どもの体調におびえず、誰にも謝らず、安心して働けるのにって。私が今、パートを続けながら在宅の仕事も育てているのは、あの気持ちが原動力です。今も昔も、私の働き方を決めてきたのは、いつも子どもでした。

ちなみに私は、パートを辞めて在宅に切り替えたわけではありません。パートを続けながら、家でできる仕事を少しずつ育てた——「辞めるか、続けるか」の二択ではない道も、実際にあるんです。

だからこの記事で「在宅という道もある」と書いたのは、あの頃の私に教えてあげたかった選択肢だからです。

もうひとつだけ。副業や在宅ワークという形も、少しずつ選べるようになってきました。働き方はひとつじゃない——それを親自身が知っていることは、いつか子どもが社会に出るときの、ささやかな安心材料になるかもしれません。

もちろん、在宅を選べる仕事かどうかは職種や状況によります。通って働き続けることも、同じように立派な選択です。私が伝えたいのは「こうしなさい」ではなく、選択肢を知っておくと、いざという時に思い出せる、ということだけです。


よくある質問

Q. 仕事を辞めたら、後悔しますか?

辞めて「子どもと向き合えてよかった」という声と、収入減・キャリア断絶・社会との接点の喪失がつらかったという声の両方が調査にあります。ひとつ確実に言えるのは、衝動的に辞める前に、休職・時短・在宅などの中間の選択肢を先に検討した方が、あとで選び直せる幅が残るということです。

Q. 会社にどこまで話せばいいですか?

不登校を会社に報告する義務はありません。「家庭の事情で、当面この勤務調整をお願いしたい」だけでも交渉は始められます。キズキ調査では、実際に現職内で働き方を変えた144人の71.5%が「相談しやすかった」と答えていますが、相談しても希望がかなわなかった人も別にいます。どこまで開示するかはあなたが決めていいことです。

Q. 付き添い登校が続いて、仕事になりません

保護者の体験談には、「午前中だけ・1週間程度」のつもりが、2週間を過ぎても朝から帰りの会まで付き添った例があります。予測できないのが付き添いの一番つらいところ。ひとりで抱えず、学校に「付き添いの見通し」を聞いていいし、送迎や見守りを家族・支援機関と分担する相談もできます。ひとり親家庭などで就労自体が難しいときは、自治体の相談窓口が生活面の相談も受けています。

Q. 子どもを家に残して働くのは、だめな親ですか?

そんなことはありません。不登校の支援方針として国が示しているのは「学校に戻すことだけを目標にしない」こと(文科省通知)であって、「親が常に家にいること」ではありません。子どもの年齢・状態によって必要な見守りは違います。働き続けることも、子どもを守る立派な形です。


まとめ

この記事で見たのは「収入が減るかもしれない」という話でした。でも不登校の家計には、もう半分あります。支出のほうも、静かに増えるんです。フリースクールに通う場合の実際の金額、住んでいる場所で変わる補助金、そして学校に行っていなくても止まらない集金まで、次の記事で整理しました。

👉 フリースクールの費用はいくら?最新調査の相場と補助金・隠れた出費

このシリーズ「不登校と家族のリアル」では、答えの出にくい問題を、生の声とデータで整理しています。

学びの継続や出席の扱いが気になる方は、出席扱い制度の解説不登校からの進路地図へ。


📚 参考にした資料

※各調査は対象・募集方法が異なるため、数字を単純比較したり全国の代表値として扱ったりはできません。本文では調査ごとの母数・出典を明記しています。

※制度の内容は2026年8月時点の確認です。運用は会社・自治体により異なるため、必ず最新の公式情報と就業規則をご確認ください。