受験生1%の高専受験|15歳で県外進学を選んだ伴走の1年
この記事は 別媒体で有料公開していた体験記を、より多くの同じ立場の保護者の方にも読んでいただきたく、全文無料で再公開したものです。
本文
中三受験生の1%を選んだ娘と、親として高専受験をサポートした実録。 1年間をどのように過ごしてきたのか残します。
はじめに|この体験を残そうと思った理由
高専を目指す子どもは、受験生全体のわずか1%ほどだそうです。 その中でも女子の比率はさらに低く、実体験を探してもなかなか見つかりません。
だからこそ、情報収集から志望校決定、推薦不合格、二次募集準備まで、 ドタバタだった我が家の一年が、これから高専受験を支える保護者の参考になればと思い、記録として残します。
この記事でわかること
- 高専受験で親がやるべき準備
- 推薦不合格後の立て直し方
- 二次募集まで見据えた段取り
国立高専ってどんな学校?
少しだけ前提を整理します。
中学卒業後に入学し、5年間で専門を学ぶ高等教育機関。 大学編入も就職も選べる一方、制度は一般高校とは大きく異なります。
「違いを知る」ことが、受験のスタートでした。
👉 詳しくは別記事「国立高専ってどんな学校?普通高校との5つの違い」でまとめています。
4月|中3の春|「高専はどう?」の一言から
中学3年の春休み。 進路に悩む娘に、私から「高専という選択肢もあるよ」と声をかけました。
すると、思いがけず興味を持った様子。 そこから、慌てて情報収集が始まります。
- 高専ってどんな学校?
- どんな学科があるの?
- 受験制度は?
- 娘の学力で目指せるのか?
分からないことだらけでした。
そこで、春休み中に地元高専へ問い合わせをしました。 娘にメールを送らせると、すぐに返信をいただき、個別進路相談の時間を設けていただけることになりました。
💡 ワンポイント イベントがない時期でも、学生課に連絡すれば個別相談ができる場合があります。 高専受験を考えている方は、ぜひ一度問い合わせてみてください。
こうして、親子で高専受験に向けて動き出しました。
5月|情報は増えた。でも不安は消えない
情報収集を始めると、すぐに学力面が心配になりました。 中2の1年間は自主学習だったため、高専受験に特化した塾を探し始めました。
YouTubeで高専専門塾を知り、無料相談に申し込みました。 内申点やテストの平均点を見ていただき、現時点で目指せると判断してもらえたことで入塾を決めました。
入塾後は、受験に必要な具体的な情報が入るようになりました。
たとえば:
- 中3範囲を夏休み中に終える
- 高専入試の数学は中3後期内容が多く出る
ただ、勉強面の見通しは立ったものの、 「高専は本当に娘に合っているのか」 この不安は消えませんでした。
6月|高専フェス in 東京
6月に開催された**「高専フェス in 東京」**に参加しました。 全国の高専が集まり、先生方や学生さんから直接話を聞くことができる説明会です。
このイベントで、初めて県外受験を現実的に考えるようになりました。
「え、県外?」 「まさか、うちの子が?」
正直、最初私は戸惑っていました。
塾の先生からは「高専の県外受験は当たり前ですよ」と言われていましたが、どこか他人事のように思っていたのです。
しかし、ある高専の先生とお話をしたことで、空気が変わりました。 とても魅力的な先生で、「こんな先生のもとで学べたら素敵だな」と親子で一気に興味が深まりました。
帰宅後、私はすぐに飛行機とホテルの予約を取りました。
娘には「実際に見に行こう」と伝えました。 この時すでに私は**“全力でサポートしよう”**と決めていたのだと思います。
6月の三者面談では、担任の先生に高専受験を目指すことを伝えました。 地域によっては、先生が高専の制度に詳しくない場合もあります。 実際、娘の担任の先生は高専が何年制かをご存じありませんでした。
だからこそ、早めの情報共有が大切だと感じました。
7〜8月|四国の高専見学
7月に体験授業と寮見学を予約し、8月に四国の高専へ見学に行きました。
募集要項を読み込み、学校紹介の動画を探し、できる準備はしてから向かいました。
当日見学したポイント
- 学生さんの雰囲気
- 学校全体の空気
- 寮の様子
- 街並み
これは、実際に行かなければ分からないことでした。
結果として、娘は「イメージと違う」と感じ、この学校は志望校から外すことになりました。
行ったからこそ納得できた。親としても環境を見ておきたかった。意味のある見学でした。
7〜8月|地元高専と私立高専|揺れる気持ち
四国へ行く前後で、地元高専の体験授業にも何度も参加しました。 学科ごとの授業を体験し、学校の雰囲気を感じる時間を重ねました。
同時に、私立高専の説明会にも参加しました。 もしもの時の選択肢として、私立高専を視野に入れておきたかったからです。
ただ、娘はどこか**「しっくりこない」**様子でした。
私の内心は県外受験を覚悟しつつも、娘が地元高専を目指してくれるなら、その方が親としては安心だなと思っていました。
娘にはまだ自宅に居てほしいという気持ちが私の中にあったからです…
でも、9月に娘がはっきりと言いました。
「建築デザインを学びたい」
その一言で、また振り出しに戻りました。地元高専に建築デザインを学べる学科はありませんでした。
9月|進路変更と焦り
地元高専の土木系の学科で学ぶ内容は、土木寄りでした。 娘が学びたい建築デザインとは方向が違いました。
もう9月なのに…。 正直、焦りました。
「今から全国の高専を調べ直すの?」
そんな時、塾の進路相談がありました。 担当の先生が東北地区高専の建築デザイン学科の卒業生で、このタイミングで進路相談ができた事が転機となり、東北地区に絞って情報収集を始めます。
高専受験はニッチな分野なので、相談できる環境があることは本当に心強かったです。
高専模試について
9月から始まる塾主催の高専模試は、1月まで全5回。 受験者は塾生と一般生を合わせて約1000人規模です。(一般生の場合一回5,000円程度で申し込み可能)
模試はオンラインで自宅受験も可能ですが、年度によっては高専の校舎で受けられる回があります。
実際の教室、実際の机。 本番に近い環境で受けられる模試は、とても貴重です。
本番の緊張感を体験できる機会として、活用できる良い機会だと思います。
👉 別記事:「高専模試の全て — 費用・内容・活用法を経験者の母がリアル解説」
10〜11月|個別見学と制度確認
10月は高専祭の時期でした。 東北地区の志望高専を2校に絞り、そのうちの1校の高専祭に行き、 進路相談会や寮見学に参加し、細かな点まで確認しました。
当日確認したこと
- 推薦・学力入試のスケジュール
- 最寄地受験が可能か
- 傾斜配点の科目
- 一級建築士の受験資格
- 寮での対応(感染症にかかった場合の対応)
募集要項は事前に読み込み、当日は最終確認という形で質問しました。
もう1校はイベントが終わっていたため、11月に個別進路相談をお願いしました。 実際に足を運ぶことを大切にし、最終的に5校を見学しました。
第一志望校を決めたのは11月末。最後までドタバタでした。
12月|願書提出と慌ただしい年末
11月末に志望校を決定し、12月に入ると願書提出が続きました。
まずは国立高専の推薦入試。 その後、私立高専、地元私立高校の併願願書の提出。
私立高専は書類選考のみでした。 国立高専の合否を待っていただける学校だったため、精神的にとても救われました。
同時に、担任の先生とも綿密に情報共有を進めました。
- 2次募集高専の調査書提出方法(推薦不合格だった場合即準備出来るように)
- 提出期限
- 東北地区高専複数校受験制度の説明(第一志望校が不合格でも第二志望校で繰り上げ合格の可能性)
高専受験は公立・私立高校とは流れが違うため、 保護者側からの情報提供が必要になる場面も多いと感じました。
1月|推薦入試
1月半ば、推薦入試を受けました。
現地受験のため、新幹線とホテルは12月に予約していました。 このあたりから、親の実務が一気に増えます。
新幹線とホテルの予約について
第一、第二志望高専は3月上旬に合格者説明会が現地で行われます。 募集要項には、合格者は参加必須と記載されていたため、新幹線とホテルの事前予約が必要となります。
⚠️ 注意: 2月〜3月はJR東日本のキャンペーンで移動が集中する時期。
我が家は、キャンセル前提で早めに2校の合格者説明会の日時で新幹線とホテルの予約をしました。
「合格してから動く」では交通機関の予約が遅い場合があります。 合格後に慌てないための準備も、受験の一部だと感じました。
推薦入試が終わった帰りの新幹線
娘は参考書を開いて勉強していました。
推薦入試は内申点が高い順に合格が決まる可能性が高いため、入試が終わったら、学力入試に向けて気持ちを切り替えていました。
後日、推薦入試は不合格。
想定内とはいえ、わずかな可能性を期待していたので親としては少し悔しかったです。
でも娘は淡々としていました。 塾で言われていた**「推薦は受かったらラッキー」**という言葉が支えになっていたのだと思います。
私立併願という安心材料
私立高専と私立高校は合格をいただきました。
行く場所があるという事実は、 想像以上に心を軽くしてくれました。
高専一本に見えても、 精神的な安定のために併願は大切だと感じました。
1月中旬|最後の模試はE判定
最後の高専模試。
判定はE。
この時期にE判定は、正直きつかったです。
でも一番不安なのは娘。
この時期は、私自身ルールを決めていました。
親のルール
- 子供に保護者の不安をぶつけない(特に成績について)
- 否定しない
- 「大丈夫?」と繰り返さない
意味のない言葉で娘を焦らせたくありませんでした。
夫も交えて3人で一緒に、入試までのスケジュールを再確認し、 今できることだけに集中しようと話し合いました。
👉 別記事:「E判定からの逆転はある?高専模試で落ち込まない親のマインド術」
1月下旬|二次募集を見据えた準備
推薦入試が不合格だったので、事前に打ち合わせをしていた事を正式に先生にお願いしました。
二次募集高専、後期特別選抜の受験準備のため、調査書の作成のお願いをしました。
問題は日程でした。
学力入試の合格発表の日が、後期特別選抜の願書締切日、及び2次募集校の受験料の振込期限。
不合格なら即手続き開始。 1時間以内に先生に願書を送信してもらう必要がありました。
私は、郵便局で受験料を納める必要がありました。
担任の先生と事前打ち合わせ
- 調査書の準備確認
- 出願方法の再確認
- 合否が分かり次第、先生に連絡を入れる事
このように時間に追われて手続きがあるため、何度も確認していただきました。合格発表当日は、学年の先生方もバックアップしていただいており、感謝で一杯でした。
結果的に受けることはありませんでしたが、 ここまで準備していたからこそ、当日は落ち着いて発表を待てました。
👉 別記事:「高専受験の二次募集(後期特別選抜)— 不合格からの立て直し完全ガイド」
2月上旬|学力入試当日のこと
娘は最寄地受験制度を利用しました。 県外高専の受験票を持ち、地元高専で受験。娘によると当日は5〜6人の生徒が最寄地受験をしていたそうです。
この制度は、本当にありがたいと感じました。 何度も現地に向かうのは金銭的にも体調管理をするのにも大変だからです。
入試当日は娘と2人で公共交通機関で向かい、 夫は万が一に備えて車で待機。
想定外を減らす準備は徹底しました。
お弁当について
当日は5教科の試験があるため、お弁当持ちです。
入試3週間前から、お弁当のメニューを固定し、3回に渡り入試当日と同じ時間にお弁当を食べて貰いました。
確認したのは、
- 食後に眠くならないか
- 胃もたれしないか
- 量は多すぎないか
当日はゼリーや果物、グミなどの補食も準備。 頭痛薬、胃薬も念のために準備しました。
「好きなメニューがあるとホッとする」
娘のその言葉を聞いて、 食事も大事なサポートだと実感しました。
2月下旬|合格発表
番号がありました。無事に合格。
お互い大喜びするかと思いましたが、とにかくホッとしたという感情が先に込み上げてきて、何度も番号を確認していました。
ここまで「やり切った」という気持ちと共に私は、娘が県外に行ってしまうのか…と思っていた事を思い出しました。
ですが無事に合格することができました。
番外編|国立高専と公立高校の併願について
よく誤解されますが、 国立高専と公立高校は併願可能です。
ただし、
- 自治体のルール
- 日程
- 中学校の運用
によっては現実的に難しい場合もあります。
我が家は日程の関係で受験しませんでした。
ここは必ず、早めに確認することをおすすめします。
3月|合格後の春休み
高専は合格して終わりではありません。
塾から言われていたのは、 「高専は入ってからが本番」。
数学の進度が速く、中学校の4倍のスピードで進んでいく。 勉強習慣が途切れると苦しくなると聞いていました。
春休みは、
- 卒業の余韻を楽しみつつ
- 友達との時間を大切にしながら
- 勉強習慣の継続(数学の予習)
娘の学校は教科書は入学式に購入だったため、春休み中は塾のテキストや参考書で数学の予習をしてから入学式を迎えました。
学校からも、入学前にスタサプを使った課題がでました。(高専の授業でスタサプ使用→金額は1年で6,000円程度。入学時に学校へ支払い)
💡 豆知識 入学前に教科書を購入する事が難しい場合、メルカリで数学の教科書を購入し予習するお子さんもいるそうです。 学校で使うものと同じかどうか、先輩もしくは学生課に聞いてから購入される事をおすすめします。
お金と向き合った一年
県外高専への交通費、受験費用、入学金、寮準備。
教育とお金は切り離せません。
高専受験をきっかけに、家計管理を真剣に考えるようになりました。 日々お金の勉強をしながら、子どもの「やりたい」を応援するために、 親も覚悟が必要だと感じた一年でした。
これからも学びを続けながら、子供のやりたいを応援したいと思っています。
これから受験される方へ
どうしても高専へ行きたいという場合、学力試験が不合格でも2次募集高専受験という選択肢があります。受験日程、募集高専の情報収集は必須ですが、諦めなければ道は開けると思います。
大切なのは、 最後まで子どもと一緒に考え続けることです。
我が家のドタバタな一年が、 これから挑戦するご家庭の参考になれば嬉しいです。
最後に
高専受験は情報が少なく、周りの同級生も受験しない環境だった為に途中で不安になったり、迷ったりする進路でした。
ですが、諦めずに情報を集め、先生と連携しながら準備を重ねれば、道は残ります。県外受験は決して珍しい事ではなく、娘が入学した高専は4人に1人が県外生という学校です。
親も子供も不安な気持ちはあるかと思いますが、思い切って飛び込む事で充実した高専生活を送る事が出来、普通校では体験できない世界が広がります。
勉強やレポートが忙しいイメージのある高専ですが、部活動も盛んで娘は2つ掛け持ちで楽しんでいます。
ここまで読んで頂きありがとうございました😊
📋 保護者チェックリスト(保存版)
- ☑ 必要に応じて学生課に問い合わせ
- ☑ 募集要項を先生と共有
- ☑ 傾斜配点確認
- ☑ 最寄地受験確認
- ☑ 私立併願検討
- ☑ 二次募集日程確認
- ☑ 交通・宿泊仮押さえ
- ☑ 親の”不安を子供にぶつけない”
👤 著者プロフィール
めぐりん|高専女子の親子ブログ運営者
娘の国立高専受験に1年間伴走し、推薦不合格・E判定・二次募集への備えまで、あらゆる可能性に対応してきた母。 情報が少ない高専受験の当事者として調べ尽くした記録を、このブログで発信しています。