不登校でも成績・内申点はつく?2024年の法改正でできること
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学期末、通知表を開いたら——斜線ばかりだった。
「この子の頑張りは、なかったことになるの?」
胸が痛くなった保護者さんへ、先に大事なことを言います。
斜線は「罰」ではありません。「評価する材料が、学校に届いていない」というサインです。
そして材料は、家にいながら作って届けられます。
- 国の方針:2024年8月の省令改正で、欠席中の学習成果を「成績に考慮することができる」と法令上明確化
- 実績:評定などに反映された子は65,953人(令和6年度・国が初めて集計)
先輩ママの掲示板「未来地図」には、「評定は斜線か1か、どちらにしますか」と学校から迫られた……という相談もあるんです。
同じ場所で立ち止まっているご家庭は、たくさんある。うちだけじゃないですよ🌷
この記事では、①2024年に変わった法令と3つの要件 ②評定がつく仕組み ③材料を届ける3STEP ④実例と、うまくいかない時の対処 を整理します。
読み終わる頃には、「うちも材料を作ろう」と思えるはずです。
💡 結論:評定は「評価材料」を渡せるかどうかで決まります
1. 斜線の正体は「材料不足」
授業もテストも提出物もないと、先生は評価のしようがない——それが斜線・評定1の実態です。逆に言えば、材料さえ届けば評価はできる。
2. 国は「反映してほしい」側——2024年に、法令になりました
文科省は通知で、ICT教材の**「学習履歴や学習時間、確認テストの結果に基づいて評価を行うことも考えられる」と明言。さらにCOCOLOプラン(国の不登校対策パッケージ)に伴う通知では「評定などの成績評価に反映することが望ましい**」とまで書いています。
そして2024年(令和6年)8月29日、これが「お願い」から「法令」になりました。
学校教育法施行規則が改正され(令和6年文部科学省令第24号)、あわせて告示(同第127号)が出されて、文科省の通知にはこう書かれています。
不登校児童生徒について成績評価を行うにあたっては、(中略)学校の判断で不登校児童生徒が欠席中に行った学習の成果を考慮することができることとすること。
背景も明記されていて、COCOLOプラン(文部科学大臣決定)と「骨太の方針2023」(閣議決定)で**「教室外の学習成果の成績反映を促すための法令上の措置を行う」**と決まったことを受けた改正です。つまり——
そして令和6年度の調査(概要p.31)で、国は初めてこの実態を数え始めました。結果——欠席中の学習成果が指導要録に反映された子は81,467人、うち評定などに反映された子は65,953人。
ただし、これは不登校全体(約35.4万人)の2割弱です。つまり8割以上のご家庭は、まだ評価材料を学校に届けられていない。制度がないからではなく、届け方が知られていないから——この記事を書いた理由です。
3. ただし「3つの要件」があります
法令になったとはいえ、自動で成績がつくわけではありません。告示で、次の3つをすべて満たすことが条件とされています。
| 要件 | わが家でいうと | |
|---|---|---|
| 1 | 学習の計画・内容が、在籍校の教育課程に照らし適切と認められること | 何をどう学んでいるかを学校に説明できる状態にする |
| 2 | 学校と保護者等の間に十分な連携協力体制があり、学校が学習状況を定期的・継続的に把握できること | 学期ごとなど、決めたペースで報告する |
| 3 | 学校が本人と直接関わりを継続すること(訪問・オンラインでの相談指導なども可) | 月1回でも、どんな形でもいいので接点を残す |
3つめは「家に来てもらわないとダメ」という意味ではありません。通知にはICTを活用したオンラインでの相談・指導も明記されています。
4. 材料の届け方は3つ
①テストを受ける ②提出物を出す ③学習履歴を出す——このあと順番に説明します。
1️⃣ そもそも:評定は「3つの観点」でできている
通知表の数字(評定)は、この3つの合成です。
| 観点 | 何で評価される? | 家から届けられる材料 |
|---|---|---|
| 知識・技能 | 主にテスト | 別室でのテスト受験 |
| 思考・判断・表現 | テスト・課題 | テスト+課題・レポートの提出 |
| 主体的に学習に取り組む態度 | 授業態度・提出物など | 提出物・学習の記録(文科省・国立教育政策研究所の学習評価ハンドブックにも「ノートやレポート等における記述」「自己評価」が評価材料の例として明記されています) |
「授業に出ていないから態度の観点はゼロ」と思われがちですが、提出物と学習記録は、家からでも届けられる材料です。
2️⃣ 材料を届けるロードマップ|3つのSTEP
STEP1 担任に聞く「何が評価材料になりますか?」
↓
STEP2 定期テストを受ける(別室・保健室でOK)
↓
STEP3 提出物と学習履歴を届ける
STEP1|担任の先生に「評価材料」を聞く
最初の質問はこれだけです。
「うちの子の場合、何を提出すれば評価の材料にしてもらえますか?」
「評価してください」ではなく「材料は何ですか」と聞くのがポイント。先生を責める形にならず、具体的な答え(ワーク提出・レポート・テストなど)が返ってきやすくなります。
STEP2|定期テストを受ける(教室じゃなくていい)
定期テストは、別室や保健室での受験を認めている学校が多くあります。担任か教務主任の先生に相談を。
点数が振るわなくても大丈夫。受けること自体が「知識・技能」「思考・判断・表現」の評価材料になり、「材料なしで1」を避ける土台になります。
STEP3|提出物と学習履歴を届ける
配られたワークや課題の提出に加えて、家庭学習の記録が武器になります。
実際に自治体のガイドラインには、こんな「型」が明文化されています(福津市教育委員会の例):
- 1日1単位時間以上のICT学習
- 学習の時間と内容の振り返りを作成(様式は自由)
- 保護者が週1回以上、学校に報告
3️⃣ モデルケース|「斜線」が「数字」に変わった5つの家庭
すらら公式サイトで紹介されている認定事例から、学校と何を取り決めて、成績がどうなったかを一覧にしました(公式コラムと京都市の事例紹介による紹介=メーカー発信の事例です)。
| 家庭 | 学校と決めた条件 | 結果 |
|---|---|---|
| 神奈川・小学生 | 毎日レクチャー+ドリルをクリア/正答率つき履歴を提出/宿題は全部出す | 成績「できる」(3段階の2番目)がついた |
| 新潟・中学生A | 1日3ユニット/親の管理画面を先生に共有/宿題提出/テストは夕方に学校で受験 | 評定2がついた(※この学校は満点でも上限3の運用) |
| 新潟・中学生B | テストは塾か学校で/音楽はWeb会議でリコーダー・美術は作品提出・家庭科は塾で調理実習 | 実技科目まで評価対象に |
| 千葉・中学生 | 理解ある塾で夕方まで学習/週ごとの履歴+学習時間シートを提出 | 志望校に合格 |
| 京都市 | 1日1時間(国算)/週1回登校/市教委の承認つき | 学校が専用の成績表を作成 |
5つの家庭に共通する「型」はこれです:
- 条件は学校との相談で個別に決まる(全家庭バラバラ。だから「まず相談」)
- テストは受けている(夕方でも、塾でも、形は柔軟だった)
- 記録と提出物を、学校が確認できる形で届けている
- 実技科目にすら、代わりの方法があった
新潟Aさんの「上限3」にがっかりしましたか?でも考えてみてください。
斜線や1が、2や3になる——高専のように当日点で勝負できる学校なら、それだけで受験の景色が変わります。満点じゃなくていい。「ゼロじゃない」を作るのが、この話の本質なんです🌷
※評定がどこまでつくかは学校の判断で、条件も運用も学校ごとに異なります。「必ず4や5がつく」という話ではありません。
4️⃣ うまくいかない時|先生を「敵」にしない
正直な現実も書きます。教職員アンケート(School Voice Project・2024年)では:
- 教員の**68%が「欠席中の学習成果を成績に反映すべき」**と考えている
- でも同時に68%が「対応は困難」(本人が一人でやったか確認できない・公平性・業務負担)
つまり先生は敵じゃなくて、「反映してあげたいけど、材料と根拠がなくて動けない」板挟みの人であることが多いのです。
実際、現役の先生が書いたnoteには、通知表に斜線を引く側のつらさが綴られています。保護者に「うちの子の居場所はもう学校にはないんだと突きつけられた気分でした」と言われた——先生にとっても、斜線は引きたくて引くものではないのです。
だから親ができるのは、先生が動ける根拠を渡すこと:
- 自治体のガイドラインを探して持参する——「(自治体名)+出席扱い+ガイドライン」で検索。「うちの市ではこう定められているようです」と見せられれば、先生は動きやすくなります
- 第三者が記録した学習履歴を出す——「本人がやったか確認できない」問題への答えになります
- それでも動かなければ、教育委員会にメールで問い合わせ——出席扱い制度の記事に書いた通り、正式な答えは制度の元締めが持っています
よくある質問
Q. 通知表が「オール1」でした。もう手遅れですか?
A. 手遅れではありません。オール1や斜線は、その学期に評価材料が届かなかったという記録であって、次の学期に持ち越される罰ではないからです。学期ごとに評価はやり直されます。
そして2024年8月の省令改正で、家庭や学校外で学んだ成果を成績に反映できることが法令上はっきりしました。次の学期のはじめに、この記事のSTEP1(担任の先生に評価材料を聞く)から始めてみてください。
Q. 「成績がつかない」と学校に言われました
A. まず、その判断をするのは学校です(法令上も「学校の判断で」とされています)。ただ、2024年8月の省令改正を学校がご存じないケースもあります。
その場合は責める形ではなく、**「令和6年8月29日の文科省通知(6文科初第1126号)を見たのですが、うちの場合はどの要件が難しいでしょうか」**と、要件のどこが引っかかるのかを一緒に確認する聞き方が進みやすいです。国の紙を印刷して持っていくと、先生も校内で相談しやすくなります。
Q. 通知表の出欠欄はどうなりますか?
A. 出席簿(公簿)上の欠席が消えるわけではなく、指導要録に「出席扱い」として記録される仕組みです(例:「出席扱い(ICT等学習)75日」)。通知表への書き方は校長先生の裁量です。
Q. テストの点が悪かったら、逆効果になりませんか?
A. 受けないと「材料ゼロ=斜線か1」ですが、受ければ材料が生まれます。点数そのものより「評価できる状態にする」ことが目的です。
Q. 受験のとき、内申はどれくらい影響しますか?
A. 都道府県・学校によりますが、公立高校入試の調査書から欠席日数欄を廃止する自治体は19都府県まで増えています。また高専のように学力試験の配点が大きい学校なら、内申の影響そのものが小さめです。詳しくは不登校でも高専を目指せる?へ。
まとめ:斜線は、変えられる
- 斜線=評価材料の不足。罰ではない
- 材料は3つ:テスト(別室OK)・提出物・学習履歴——全部、家を拠点に作れる
- 国は「反映することが望ましい」側。実際に約6.5万人の子が反映されている
最後に、大前提をひとつ。
不登校の理由は家庭ごとに本当にさまざまで、いまは学習より心と体の回復が先、という時期のお子さんもいます。この記事は「勉強させましょう」という話ではなく、「動けるようになったとき、材料の作り方を知っているかどうかで道が変わる」という話です。焦らなくて大丈夫。ポケットに入れておいてください。
今日できる一歩を、ひとつだけ。
連絡帳でもメールでもいいので、担任の先生にこう聞いてみてください——「何を提出すれば、評価の材料にしてもらえますか?」
出席日数の守り方は、こちらにまとめています → 出席扱い制度とは?不登校でも家で出席と内申を守れる国の制度
「うちの場合、どう相談すればいい?」の順番がほしい方へ
評価も出席も、結局は「学校とどう話すか」で決まります。最初のひとことから、渋られた時の返し方、評価を成績に反映してもらうための希望の伝え方までを、STEP0〜6の順に並べた実践キットをnoteにまとめました。相談に持っていける記入シート(PDF)つきで、全体地図とSTEP0・1は無料です。
👉 不登校×自宅学習で「出席扱い」をめざす|知って動くためのSTEP0〜6(文例つき)
📚 参考にした資料
- 不登校児童生徒が欠席中に行った学習の成果に係る成績評価について(通知)令和6年8月29日・6文科初第1126号(文部科学省)
- 不登校児童生徒が欠席中に行った学習の成果の成績評価に係る法令改正について(文部科学省・概要資料)
- 自宅でICT等を活用した学習活動の出席扱いについて(文部科学省)
- 令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査(文部科学省・概要)
- 不登校児童生徒の学習支援ガイドライン(山梨県教育委員会)
- 出席扱いガイドライン(福津市教育委員会)
- 学習評価の在り方ハンドブック 小・中学校編(文部科学省 国立教育政策研究所)
- 不登校の出席扱い制度と成績の付け方(すらら公式コラム)
- 京都市教育委員会が認めた出席扱いの事例(すらら公式コラム)
- 教職員アンケート「欠席中の学習成果の成績反映」(School Voice Project)
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